韓国語と朝鮮語の違いを解説
みなさん、こんにちは!アンニョンハセヨ!
チェゴハングルのシュニです。
韓国と北朝鮮は、国家は違いますが、同じ民族が同じ言語を使っていますよね。
日本では、それぞれの言語をまとめて「朝鮮語」と呼ぶ場合もあります。
実は韓国語と朝鮮語は同じ言語のことを指しますが、少しだけ語彙や発音に違いがあります。
そこには、地理や政治といった複雑に絡まった深い理由がありますが、今回はそれをわかりやすく解説できればと思います!
韓国と北朝鮮で言葉が異なる理由
韓国と北朝鮮で言語が異なる理由は、大きく2つに分けることができます。
それは、「社会的な理由」と「地理的な理由」です。
社会的な理由
みなさんもご存知の通り、朝鮮半島は半世紀以上にわたり分断されています。
また、韓国はアメリカ、北朝鮮はソ連によって支援されて作られた国家のため、それぞれの支援国の言葉を使う傾向があります。
例えば、”トラクター”のことを韓国ではアメリカ式に「트랙터(tractor/トゥレクト)」と発音します。
一方、北朝鮮ではロシア式に「뜨락또르(трактор/トゥラクトル)」と発音します。
北朝鮮はアメリカと仲が悪いので、決してアメリカ英語は使いませんね!
地理的な理由
また、韓国も北朝鮮も標準語は、ソウル方言をベースとしていますが、地理的な理由で発音や語彙が異なります。
北朝鮮の標準語(文化語)は平壌や北方の発音が少し入っていますし、韓国語は釜山などの南方の方言も使われるようになっているためです。
日本語でも東北と九州の方言では、それぞれ発音や単語が全く違いますよね。
語彙の違い
では、具体的に南北で異なる単語の例をご紹介します。
韓国政府が南北の単語の違いをまとめた「북한정보포털 (北韓情報ポータル)」もぜひ見てみてくださいね♪
韓国語 | 朝鮮語(北朝鮮) | 日本語 |
---|---|---|
한반도(韓半島) | 조선반도(朝鮮半島) | 朝鮮半島 |
우체국(郵遞局) | 우편국(郵便局) | 郵便局 |
홍수(洪水) | 큰물 | 洪水 |
감미료(甘味料) | 단맛감 | 甘味料 |
노동자(労働者) | 로동자(労働者) | 労働者 |
다이빙(ダイビング) | 뛰여들기 | ダイビング |
다이너마이트(ダイナマイト) | 남포약 | ダイナマイト |
친구(親舊) | 동무(同務) | 友達・友人 |
헤어드라이어(ヘアドライヤー) | 건발기(乾髮機) | ヘアドライヤー |
아이스크림(アイスクリーム) | 얼음보숭이 | アイスクリーム |
「郵便局」など、むしろ日本と北朝鮮だけ共通の漢字を用いた単語があるのが面白いですね〜。
アイスクリームは北朝鮮語で얼음보숭이
韓国と北朝鮮の単語の違いで、最もよく語られるのは「アイスクリーム」という単語です。韓国語では、英語の発音そのまま「아이스크림」と言うのに対し、北朝鮮では「얼음보숭이(氷の小豆菓子)」と言います。
「얼음(氷)」という単語自体は、南北どちらでも使う表現です。
発音の違い
韓国と北朝鮮では、同じ単語でも読み方が違う場合もあります。
例えば、朝鮮半島に多く見られる名字として「李(LEE)」さんがいますよね。
北朝鮮では、そのまま「リ(리)」と読みますが、韓国では「イ(이)」と読むんです。
韓国語における最初のㄹやㄴの脱落や、合成語の発音など、細かい違いはWikipediaでも丁寧に解説されていますよ!
李さんの例のように、韓国語ではㄹ(ラ行)から始まる発音はほとんどなく、子音が脱落して母音だけで発音されることが多いです。
韓国語と朝鮮語を一緒に学ぶ
日本でハングルを学びたい場合、多くは韓国語を学ぶことになると思います。
しかし、日本でも北朝鮮の単語を学ぶことができる教材があるのでご紹介します。
主に韓国の語彙を中心に紹介していますが、北朝鮮での表記についても星印マークがあったり、逐一解説してくれています。
正直眺めているだけでも面白いので、語学学習者ではなくてもオススメです。笑
まとめ|大きくまとめてハングル
いかがでしたでしょうか。
本記事では「朝鮮語」と言う言葉をしばしば使用しましたが、韓国の方にとっての正しい表現はあくまで「韓国語」ですので、日常で使う際には注意する必要があります。
ちなみに、ハングル検定協会は「当協会は「韓国・朝鮮語」を統括する意味で「ハングル」を用いております」としています。
「ハングル」なら韓国語と朝鮮語をまとめた意味で使えますね!
韓国と北朝鮮は、分断されるまでは同じ言葉を使っていましたが、現在はそれぞれが独自の変化をしています。
朝鮮半島は同じ民族なのに、お互いの言葉が通じなくなっていくと言われています。
日本人でも韓国語を学んだ方でしたら、北朝鮮の言葉を見てその違いに興味深く感じられるのではないでしょうか。
韓国で使われる韓国語と、北朝鮮で使われる朝鮮語は、よく「方言程度の差」があると表現されますね。