原作|多くの国で翻訳されたベストセラーが映画化
韓国で炎上・称賛の社会現象を巻き起こした小説
著者は、1978年生まれのチョ・ナムジュ。
ドキュメンタリー番組の放送作家として10年以上の経歴を持つ。
彼女が描く作中の主人公「キム・ジヨン」は架空の人物だ。
しかし、「キム・ジヨン」という人物は、どこかにいるような、どこか誰かのことを指しているような気がしてならない。
それもそのはず、キム・ジヨン自身が「韓国社会の中に普遍的に存在するような女性」として韓国人の誰もが共感できるように”作られた”人物だからだ。
「#82年生まれキムジヨン 」は出来るだけ「どこにでもいる韓国女性」を絵に描いたようなプロフィールになってるのだけど、ピンとこない人のために無理やり日本に置き換えると「上石神井駅徒歩15分の2LDKマンションに住む専業主婦の佐藤裕子さん(37歳)」あたりになります。
— ゆうき 유욱희 (@yuki7979seoul) November 3, 2019
本作品では、彼女が「女性」として一見幸せに暮らす日常に横たわる「小さな理不尽」の数々にスポットライトを当てる。
根強く家父長制の残る韓国社会で、100万部売れたベストセラー。
しかし、多くの部分で日本にも通じるところがあり、女性の人権問題について考える際に読まずにはいられない名作である。
映画|韓国公開11日間で200万人を動員
原題 | 82년생 김지영 |
邦題 | 82年生まれ、キム・ジヨン |
公開日 | 2019.10.23 (大韓民国) |
監督 | 김도영(キムドヨン) |
主演 | チョン ユミ(정유미), コン ユ(공유) |
上映時間 | 約118分 |
俳優・チョン ユミとコン ユの繊細な演技が没入感を高める
「釜山行き 前代未聞災難ブロックバスター」や「るつぼ」など、過去のベストセラー2作で共演した二人が再び主演としてタッグを組んだ。
韓国に生まれたごく平凡な女性「ジヨン」を演じる女優・チョンユミは、逞しく生き、時には、傷ついても明るく笑い返すどこか矛盾を抱えた、絶妙な役柄を見事に演じた。
一方、「ジヨン」の旦那役を務めた俳優・ゴンユは、やはりごく平凡な韓国人男性を演じきった。精神的な病に悩む妻を、心から心配し寄り添う夫を快演し、映画としてのクオリティをグッと高めた。
日本公開はいつか?
気になる映画の日本公開については、2019年11月現在、未定となっています。
また決まりましたら更新したいと思います。
ついにキター!!!キム・ジヨン公開日発表!!
「82年生まれ、キム・ジヨン」10月9日から日本公開! チョン・ユミ&コン・ユが初の夫婦役に https://t.co/kv0meF5U9y
— ゆうき 유욱희 (@yuki7979seoul) March 5, 2020
10月9日(金)から日本公開することが決まりました。
東京・新宿ピカデリーなど、全国の映画館で上映予定です。
映画を見た人のレビュー・評判・感想
肯定的な感想が多数
一方で批判的な感想も
【結論】原作と映画、両方見て「当たり前について自分で考えてみること」
男性にこそ読んでほしい
私たちの身の回りには、まだ女性を不遇する習慣が根強く残っているのではないか?
某大学の医学部では、女性の合格率を操作していたことが発覚したのはつい最近のことで、就職・結婚・育児など、あらゆるライフイベントにおいても同様な扱いが横行している。
不遇を受ける側ではない男性と女性では、社会の見え方は全く違うのかもしれない。
あなたの家では、お正月に女性がおせち料理を作り、男性はテレビを見ながら歓談する。
そんな風景が日常化していないだろうか。
生まれた時から「当たり前で、そこにあった風景」が、もしかしたら「当たり前」ではないかも知れない、と人々が考え始めた時に本当の男女平等社会が訪れるのだろう。
本作品はそのきっかけを与えうる作品になると感じる。
韓国では、自分の娘に辛い思いをさせたくないとの理由から、多くの男性がこの本を手に取って読んだという。
賛否両論ある本だからこそ、描かれているジヨンの姿が現実か否か、自分でご判断いただきたい。